Centerfire Cartridge Types
今回の記事では、現代で主に使用される弾薬の形状と各部の名称を、作成したイラストを基に説明していく。
写真:ライフル銃弾と拳銃弾の切断面(火薬部は代用材)
弾丸のBullet(ブレット)は赤色の字。鼻先のNose(ノーズ)と底部のBase(ベース)、鉛など弾芯のCore(コア)とそれを被甲する銅などのJacket(ジャケット)、薬莢の口に圧着させる溝のCannelure(カナルー)。
薬莢のCartridge Case(カートリッジケース)は黄色の字。弾丸を噛ませ圧着するCrimp(クリンプ)、出入り口のMouth(マウス)、人の形でいう首に当たるNeck(ネック)と肩のShoulder(ショルダー)、体のBody(ボディー)。排莢でエキストラクターの引っ掛かりとなる縁のRim(リム)と溝のGroove(グルーブ)、底部がHead(ヘッド)、雷管の火を発射薬まで通す穴がFlash Hole(フラッシュホール)だ。
白色の字は雷管のPrimer(プライマー)と発射薬のPowder(パウダー)。
画像:一般的なライフル弾薬の構造と名称
弾頭の形状は青色の字、左からライフル弾薬で広く使われるPointed(ポインテッド)、鼻先の丸いRound Nose(ラウンドノーズ)と平らなFlat Nose(フラットノーズ)、ペーパーターゲットに明確な穴を空ける円柱形のWadcutter(ワッドカッター)と台形のSemi Wadcutter(セミワッドカッター)、着弾時に潰れ易いよう凹ませたHollow Point(ホローポイント)は断面図の下。
底部の形状は赤色の字、平らなFlat Base(フラットベース)と凹ませたHollow Base(ホローベース)、空気抵抗が減るようすぼませたBoat Tail(ボートテール)は、その名の通りボートの様な見た目から付いている。白色の字は被甲の無い鉛弾のLead Bullet(レッドブレット)で、被甲のあるホローポイントとの断面比較で表した。
画像:弾丸(ブレット)の主な形状
薬莢の形状は左からStraight(ストレート)、先細りのTapered(テーパード)と瓶の様に首のあるBottleneck(ボトルネック)、その両方を併せ持つTapered Bottleneck(テーパードボトルネック)は現代のライフル銃で最も多く使用される形だ。
画像:金属製薬莢(メタルケース)の形状
排莢でエキストラクターの引っ掛かりとなる薬莢底部の縁(リム)の種類は上段左から、回転式拳銃や散弾銃で多いRimmed(リムド)、溝(グルーブ)を持つがボディーの直径よりも出っ張るSemi Rimmed(セミリムド)、同直径のRimless(リムレス)、下段はボディーの直径より小さいRebated(リベイテッド)と、高圧に耐えるため帯を巻いた様に厚みを付けたBelted(ベルテッド)。
画像:薬莢底の縁(リム)の種類
雷管(プライマー)の種類にはBoxer(ボクサー)とBerdan(ベルダン)があり、その違いは撃針で突いた時に起爆薬を発火させるための受け金となるAnvil(アンビル)の有無だ。ボクサー型は部品として雷管に含まれるが、ベルダン型は薬莢側を突起させる形で雷管には含まれない。
またイラストにはしていないが、.22LRのようなリムファイアーカートリッジは雷管を用いらず、リムの内部に起爆薬が込められており、そのリム(縁)を撃針で打ち撃発する。
画像:雷管(プライマー)の種類と構造
薬莢の底面には口径やメーカーなどその弾薬の情報を示す刻印があり、それをHead Stamp(ヘッドスタンプ)と呼ぶ。
画像:薬莢底面の刻印(ヘッドスタンプ)例
銃器を知るにはその肝である弾薬を理解することが不可欠だ。ここで示した基本的な構造や名称を入り口に、さらに奥深く目を向けてみるのも良いだろう。
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