Line of Sight and Bullet Trajectory
まずは銃の照準方法。後部にあるリアサイト(照門)の谷間から、前部にあるフロントサイト(照星)の山を見て、標的に重ねて合わせる。目のピントは写真のようにフロントサイトにあるのがベストだ。
写真:照門と照星の凹凸を合わせ標的に重ねる
写真:照門にピントを合わせた場合
この時「弾丸が飛び出る銃口よりも上に照準器があるのに、なぜ着弾点が合う?」そう不思議に感じる人もいると思うが、その疑問も以下で解決するはずだ。
写真:標的にピントを合わせた場合
次の図を見てほしい。銃身を水平に銃を保持した時、照門から照星にかけて低くなっている照準器の直線(ラインオブサイト:青色)は、銃身の線(ボアライン)とは平行せず先で交差して離れていく。
しかし、発射された弾丸は重力により次第に下がっていくため、弾道(ブレットトラジェクトリー:赤色)は直線ではなく曲線を描きながら、再び交差した後に離れ落ちていく。
画像:図は9x19mm弾薬の拳銃をベースに作成
縦の線は距離で0〜50ヤードを、4つの的はその距離での着弾点を表した。至近距離では下に、近距離で一致(交差)し、中距離では上に、遠距離では下に着弾する。つまり、距離が変わると照準も変えなければ当たらないという事だ。
弾道は銃や弾薬の種類はもとより、風や気圧などの自然環境によっても影響を受ける。その照準の誤差を埋めることが射手の役割といえるだろう。
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